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お線香マメ知識

お線香の選び方 ポイントは長さ・煙・香りの3つ

お線香の選び方 ポイントは長さ・煙・香りの3つ

こんにちは、お線香マイスターのかおるんです。

お線香を使ってみたいんだけど、種類がたくさんありすぎて選べない…そんな経験はありませんか?
かくいう私も、最初はそうでした。

そこで今回は、お線香を選ぶ時に役に立つ、種類とその特徴について解説します。
※なお、当稿で示すお線香とは、家庭用の一般的な棒状のものになります。

長さ





お線香の選び方 ポイントは長さ・煙・香りの3つ
お線香には、店頭などで目にする一般的な長さと、そうでないものがあります。

意外に思うかもしれませんが、その一般的な長さのものは「短寸」と呼ばれています。そしてこれを基準に、これより短いものを「ミニ寸」、長いものを「中寸」や「長寸」と呼びます。

ここでは、中寸以上のものは全て長寸で一括りにしてお話しします。
なぜなら、長いお線香は基本的に寺院などでしか使わないからです。
(お寺で住職さんが40〜1時間ほどお経を読む際に使用)
実は一昔前は、家庭用で使われるお線香も現在の長さの倍ほど、つまり長寸くらいの長さがあったそうです。しかし色々な事情により、現代ものへと長さが短縮されていったのです。

長さ別スペック

長さ(cm)燃焼時間
ミニ寸7〜913分
短寸13〜1425分
中寸・長寸・長尺18〜5845分〜4時間以上

このように、大きく3つに分けることができます。

一般的に馴染みがあるのは、中間の「短寸」と呼ばれる長さだと思います。
近年では、そのさらに短い「ミニ寸」と言うものを選ぶ方が増えています。
その理由については、記事下部で解説していますので併せてお読みいただければと思います。

煙の量

お線香の選び方 ポイントは長さ・煙・香りの3つ
お線香の構造上、が出て初めてそれに乗って香りが拡散されるため、切ってもきれない関係なのが、「」。
この煙、苦手な方もいるのではないでしょうか。
でも安心してください。今は煙の量が限りなく少ないタイプもあります。

煙の量:少ない

いわゆる「微煙タイプ」というもの。
主成分に備長炭が使われていて、その為の量を抑えることができています。
※備長炭とは、高熱により焼成されたもののことです。炎やが出ず、灰が少ない)

の量は、数値で正確に判別ができませんが、各メーカーごとに「極少」や
「かなり少ない」などの表現でランク分けしているので、参考にしてみて下さい。

一般的には、このタイプは、「フローラル系」などの軽い傾向にある香りの商品
多く見られます。

煙の量:普通

の量が普通のタイプは、現代では少なくなりました。
しかしながら、お墓参り用のものは未だモクモクと出ていますし、一部の香木系(伽羅・沈香・白檀などを使った高級なもの)では未だ、こちらのタイプとして残っています。

既述した通り、お線香の香りは「煙に乗って拡散する」ので、
香りが本当に好きで、それメインで楽しみたいと言う方に思う存分楽しむなら、こちらのタイプがいいでしょう。
香木系のお線香は特にこだわりが強い、いわゆる「通な人」に多い為、こちらを選ぶ傾向にあります。

 

香り

お線香の選び方 ポイントは長さ・煙・香りの3つ




お線香の香りには、大きく分けて2つあります。
それは、①香木系と②フローラル系です。

香木系とは、いわゆる「お寺くさい」「おばあちゃん家の匂い」と言われる類のものです。昔懐かしい感じ。

フローラルとは、比較的近代的なもので、若者層やビギナー層を取り込むために作られるようになった部類で、軽やかなカジュアルな香りを指しています。

香木系

既述していますが、伽羅・沈香・白檀などの香木(木)をメインにしたもの。

これらの香木は本来は天然のものですが、現在ではなかなか手に入らないできないですし、伽羅に至っては
1gゆうに5万円を超えるとも言われる超希少品!
そのため人工的に作られている原料でもありますが、香りはほとんど本物と変わりありません。

それぞれの香りの特徴を開設いたします。

伽羅

TOP OF 香木いや、香料、と言っていいでしょう。

沈香の中でも最高級クラスのものだけを指し、ベトナムのごく1部でしか
採取できない、非常に希少なものです。
生成されるまでに有する年月は100年近いと言われています。

香りは、トップノートは甘さが強く、かつ、ミドルノート以降に段々とほろ苦さも加わってくる、そんな特徴があります。とにかく奥の深い味わいです。
沈香との聞き分け方ですが、簡単に言うと甘いか辛いか、です。甘みがあり、油分も多いのが伽羅です。

木片を購入しようと思うと高くて手が出ませんが、お線香としてであればだいぶん手頃なお値段ですし、可能であればみなさんに一度はお試し頂きたいものです。

沈香

東南アジアで主に採取されるもので、生成工程は上の伽羅も同じです。
ジンチョウゲ科・常緑樹の樹皮に傷が付いたり菌に感染すると、植物自身が樹液を出して治癒しようとします。
その樹液が凝固し樹脂になり、長い年月を経てバクテリア・胞子などの働きで、樹脂が変質し、独特の香りを放つもの。
名前の由来は、普通の木に比べ比重が重いため”水に沈む”ことからつけられました。※この沈香の中でも最上級のものを、「伽羅」と呼びます。

生成されるまでに有する時間は50年ほどと言われています。

香りの特徴としては、すっきりとして少し辛味があります。
また、常温では香りがあまりしなく、火をつけて初めてその素晴らしい芳香を放つところが特徴です。
戦国時代の武将たちがこぞって収集していたとされるものですから、聞いてみる価値は十分にあるでしょう。

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白檀

インドやインドネシアで主に生息。
ビャクダン科ビャクダンの芯材部分がこれに当たります。

香りの特徴は、香木系の中では最も馴染みのあるものかもしれません。
甘みがあり、その上爽やかなので、初心者の方でも使いやすい香りです。
爽やかな香りゆえ、梅雨の時期などの使用をお勧めしています。

お値段も上記2種類と比べると一番手を出しやすい価格帯かと思います。

フローラル系

香木系とは打って変わって、洋風系の爽やかで軽やかな香りです。
お線香にまだ馴染みの方は、まず高知らの部類から入ると使いやすいのでおすすめです。

フローラル系の香りには、実に様々あります。基本的に人工香料が練り込まれている為、大抵の香りは実現できるようです。
しかしながら、1つだけ難所が。それは、高温な火種(ヒダネ)故の問題。

お線香の火種は通常7〜800℃ほどあります(赤くなっている部分)。
この高熱に耐えうる香り(香料)である必要があり、その範囲があまり広くないことです。
例えば柑橘系の香り。実はあんまり商品化されていないんです。
あったとしても、実際焚いてみたときに、違和感を覚えるはず。
なぜなら、柑橘系の香りは沸点が低いので、この火種の熱さに負けてしまうからです。
それでも、調香師の努力や研究が進んだおかげで、だいぶ柑橘系も再現が可能になってきました。

フローラルな香りは、お花がオーソドックスになっています。お好みの香りを選んでみてくださいね。

番外編 「無香」を選ぶ人も

そうなのです。
「何の香りもついていないもの」と指名される声も増えてきており、そのためにメーカー各社は泣く泣く香りのないお線香という、何とも本末転倒な努力を強いられているのです。
香りが苦手だけど、お線香を焚いて供養はしてあげたい」と言う切な想いでもあるので、いろんな利用者の声を吸い上げる努力は素晴らしいものです。

 

最後に〜お線香の形態はその時代の世相を反映している〜

お線香の選び方 ポイントは長さ・煙・香りの3つ




お線香は、お経を唱える時にも使用されてきました。そのため、かつての一般的なお線香の燃焼時間は3〜40分ほどの長さのものが主流でした。

しかし現代ではそれを使用するのは寺院だけです。
なぜなのでしょうか。

①居住スペースの縮小

一般家庭では、だんだん家が小さくなり、それに伴って仏壇が小さくなってきています。
すると、何が起きるでしょうか。
仏壇にセットする仏具が小さくなります。花立・線香立て・香炉。
香炉が小さくなれば、必然的にそれに会うサイズのお線香が欲しくなるのです。
なぜなら香炉の口が小さくなるため、建てたお線香の灰が、香炉の外にこぼれ落ちてしまい、お掃除の手間がかかるからです。

②設置場所の変化

現代は昔のように「仏間」と言われる仏壇を設置するためだけのスペースや
部屋がなくなっていきました。
①と同じですが、全体的な居住スペースの縮小化により、部屋数が減ります。
すると、仏壇をリビングなど生活空間の中に設置することが増えていきます。

食事中などは、お線香の香りのない空間で食べたいものです。
また、近年の住居は(特にマンション)機密性が非常に高く、また、近隣住宅との距離が近いことから、の量は本当に気にする方が増えています。
その為、の量や香り長さを総合的に見て判断し選ぶ必要があるわけです。

これらの理由から、お線香の長さ香りの量は変化・進化していったのです。

 

かおるんの一言ポイント

お線香の選び方は、簡単にまとめると、次の3点です。

長さ
の量
香り

あなたのご自宅事情を加味した上で、この3点をうまく組み合わせて選んでみてください。

また、お線香は実際に焚いてみないと香りが分からない(焚いていない状態と香りが少し異なる)ので、可能ならば少しずつ試して焚き比べてみると面白いと思います。