こんにちは、お線香マイスターのかおるんです。
私たちが生きる上で欠かせないものの一つに、時計があります。
これがなければ、人と待ち合わせすることや、好きなテレビ番組を見ることや、
電車にスムーズに乗ることができなくなります。
そんな時計ですが、実はここにも「お線香」の歴史が一つ隠れているんです!
時間を図るツールとして、お線香(お香)が使われていました。
その名も「香時計(時香盤とも呼ばれています)」。そのまんまです。
今回は、そんな「香時計」について解説して行きます。
時計の前身は天智天皇が作った水時計
まず時計の歴史を遡ると、本当の大昔は太陽の位置で、だいたいの時間
(朝・昼・夜程度の区別)を把握していました。
主にエジプトで盛んに開発が進められていたようです。それでは順を追って見てみましょう。
日時計から水時計へ
10,000年以上前には「日時計」と言って影を利用して時間を計測する方法がエジプトで採用されてていました。そして同じくエジプトで紀元前3,400年頃、星による夜間時刻の計測方式が取られ、
その後水、ローソク、油へと移り変わってゆきました。
そしていよいよ日本で初めて時計が作られたのは、西暦671年の4月25日。
天智天皇によって水時計※が作られます。このことは日本書紀にも記されていることです。
※水時計とは:容器に流入(溜まる)する水の高さで時間を測る方式のこと。日時計は夜間には使えないため、これが生まれたとされ、元はやはり、既述の通りエジプト発祥のもの。
明治から現代
その後長い年月を経て、1873年(明治6年)にボンボンと呼ばれる四つ丸型や八角型のゼンマイ式の時計が輸入されました。
これを機に、この後日本でメーカーが多数設立されます。
東京オリンピック開催の1964年。この競技での測定に間に合わせるよう
携帯可能なサイズのクオーツタイプが開発されました。
その後1968年にクオーツ掛け時計が商品化され、翌年(昭和44年)にはアナログクオーツ腕時計が開発され、時計史上画期的なものとされました。
こうして、腕時計の精度が大きく飛躍していったのです。
香時計とは
香時計に使用する香料の形状には、時代によって異なり、2種類あります。
それは、「抹香(焼香)」と「お線香(棒状)」です。
過去記事でも解説した通り、お線香は最初から今のような棒状だったわけでなく、元は粉末状だったり、それを丸めて間接的に焚いていました。

よって、その時代のお香の形状に合わせて、香時計も進化していったという事です。
それでは、順番に見ていきましょう。
抹香(焼香)での香時計
元々は6世紀頃に中国で発明されたもので、機械時計化する前に日本へ伝えられました。その後、1873年の明治改暦まで使用されていたと言われています。
当時のものが、正倉院に残されているそうです。
簡単に言うと、香炉の中の抹香(焼香)が燃える事で時間を図ったり、
アラーム機能として時間を知らせるものです。
構造は、香炉にジグザクになるよう(卍のような模様)作った溝の中に
抹香を敷き詰め、鈴を付けた糸を最後のところにセットしておきます。
先端に火を点け、最後の糸まで燃える尽きれば鈴が自動的に落下し、音が鳴って
時間を知らせる、と言う仕組みです。
使われていた香料は、
・沈香(じんこう)
・白檀(びゃくだん)
・丁子(ちょうじ)※
などです。
※丁子とは:フトモモ科・常緑高木で、チョウジノキの開花前のツボミを乾燥させた香辛料のこと。
現代のお線香類にも多数使用されています。
お線香(棒状)の香時計
江戸時代のこと。お香が棒状のいわゆるお線香になってからは、いたってシンプルな
構造へと進化しました。
お線香を横に寝かせ、等間隔に鈴を結んだ糸を配置し、その部分までお線香・糸が燃え尽きると鈴が落ちて音で知らせるというもの。なんとなく想像できますでしょうか。
原料や気候などにもよりますが、当時のお線香の燃焼時間は約40分(15cm)でした。
それをうまく利用しての技法なのですね。
このようにして、お香は時を知らせるために、我々の生活に馴染んでいったのですね。
お線香は現代でもなお時間計測に役立っている
香時計ができ、現代の時計が発明されてきたわけですが、実はお線香の「燃えて無くなる(消える)」という原理は、現代も活かされているのです。
それは、本当に身近なもので、例えば、
ヨガだったり、座禅との時だったり。
もちろん、仏事に関すること、例えばお経を読むときも、これに当たります。
最後に
普段何気なく使っている時計。
こんな歴史があったなんて、意外ではないですか?
お香やお線香というと、仏事のことを連想する方が多いかもしれませんが、
時間を計るという意味では、実にいろんな場面で流用できると思うのです。
ネット通販などで、「香炉 香時計」と検索すれば、すぐにヒットしますが、
専用の香炉があります。3、4つほど均等に点が打ってあり、その上にお線香を寝かせて置いて焚くと言う構造です。
こういったアイテムがあると、日常生活のちょっとしたところですぐに活用できそうですね。
お試しあれ。
【忙しい現代だからこそ「あえて一息つく時間を作る」】
今回の記事は、時間をお香(お線香)で計ると言う話でしたが、この特性を使って、逆の視点で捉えて
みるとどうでしょう?
「このお香を焚いている間だけは休憩時間にする」という風に、あえて
自分で作るんです。
私は「この時間はスマホも見ないで、ただボゲェーッとする!」と決めて、お香を焚いています。
そうでもしないと、常に何か考えていたり書類に目を通したりスマホやPCを眺めてしまいます。
お香でなくてもいいかもしれませんが、メリハリをつけるための手段の一つとして、取り入れて見ては
どうでしょうか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。