こんにちは、お線香マイスターのかおるん(@KaorunKaori)です。
前回、遺体の飽和により出現した遺体ホテルについて記事にいましたが、今回はその遺体を焼いた後の「遺骨」について焦点を当てていきたいと思います。

これから親御さんの最期を迎えることになる皆さんへ少しでもお役に立てれば幸いです😌
Contents
遺骨とその後
まず遺骨とは何を指すでしょうか?
それは、ご遺体を焼いた後の骨だけの状態のものです。
お葬式の後火葬場へ行ったことのある人は分かると思いますが、火葬して焼きあがった遺骨は、遺族によって骨壺という壺に収められます(=「骨揚げ」や「収骨」と呼ぶ)。
その後遺骨は、自宅もしくは寺院などに預けられ、四十九日※を区切りに
お墓や納骨堂※へと納骨されます。
※四十九日とは…亡くなってから四十九日後のこと。この日まではまだ成仏前なので「御霊前」と呼び、これ以後のことは成仏し仏様になっているという意味で「御仏前」と呼ぶ。
※納骨堂とは…骨壺に入れた遺骨を安置しておく建物のことで、管理・運営の主体により寺院納骨堂、公営納骨堂、民営納骨堂の3種類があります。
納骨方式としては、ロッカー式・棚式・仏壇式・お墓式に大きく分別できます。
ですので本来の流れは、
葬儀
↓
火葬
↓
納骨
↓
四十九日に寺院の墓へ埋葬
になりますが、最近は遺骨の行き先も多様化しているというのです。。。。
お墓の減少の理由
厚生労働省の衛生行政報告書によると、墓地の総数は
平成9年(1997年)が878,733で、平成26年(2014年)には864,365へと減少しています。亡くなった人の数が急増しているのに、お墓は減っているのです。
なぜ亡くなった人の数がこれだけ増えているのに、お墓が減るのか。理由は以下の通りです。
①価格が高い
②維持管理が困難
③土地不足(都心部)
①価格が高い
ざっくりとですが葬儀・お墓代の相場はそれぞれ200万円前後、30〜200万円前後となっています。
普通に高いですよね。
親御さんによっては予め「終活」と言って地震の亡くなった後のことを考え計画的に積み立てておくようなシステム(互助会)で残された遺族に経済的心身的負担をさせないようにする方もいるでしょう。
しかし突然の不幸だったり、みんながみんな終活をするとは限りません。
すると遺族(子供達)は、全て自分達で負担することに。このご時世、なかなか出せる額ではありませんね。
②維持管理が困難
お墓参りってした事ありますか?経験のある方ならわかるでしょうが、お墓は立てればそれでお終いではありません。
・年に数回お墓参りする(主に彼岸(春と秋)、お盆など)
・お墓の掃除(コケカビが生える)
・お花の入れ替え(生花だとなおさら。すぐ枯れる)
・お墓周りの掃除(雑草の除去など)
③土地不足
単純に墓地(お墓)にする土地が足りません。
②のように、管理をする為利便性を考えてドーナツ圏にお墓を作る人が多いですが、みんな考えることは同じなので、集中してしまいます。
ドーナツ圏に限らず、首都圏や大阪などの人口の多いエリアでは当然起こりうることでしょう。
人が住む場所さえ足りないくらいなんですから😅
遺骨は無闇に扱っては❌!
上述のような理由で減っているお墓。
でも遺骨はそのままにするわけにはいかない。え?と思ったあなた!
遺骨って、簡単に処分できないんですよ、ご存知だった??
もちろん不謹慎・罰当たりとか宗教的習慣的な観点も理由ではありますが、それよりも重大なこと。日本には遺骨の処理に関する法律があるんです。
遺骨は遺体と違い火葬してあるから普通にどこかに捨てててもいい(罰当たりだけど)のでは?と思う方もいるかもしれませんね。
ところが刑法190条の条文でこのように決まっています👇
「亡くなった人、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」
いわゆる”遺骨遺棄罪”が成立し法律違反となるのです。
例えば、骨壺(遺骨)を家の中のどこかに保管するのはもちろんOKなんですが、邪魔だからと言って家の庭に埋めたりするのはこの遺骨遺棄罪に当たります😵
じゃあ、遺骨の処理はどうしたらいいの…?
と路頭に迷いそうになっているあなた!そう言った方の悩みに応えるべく、今は複数の選択肢があります。
新しい埋葬方法・多様化
前項でお伝えした通り、遺骨は勝手に個人で処分したりしてはいけません。
ではどうしたらいいか。幾つか選択肢がありますので、以下を参考になさってください。
①粉骨して自宅保管
②樹木葬・水葬など自然に還す
③散骨
④納骨堂を利用
①粉骨して自宅保管
粉骨は安くて2,500円〜高くて数万円と幅がありますが、いずれにせよ手頃価格で場所を取らずに手元に置いておけるという大きなメリットがあります。
個人的にはこれが一番おすすめ。
粉骨にしてから、ジップロックのようなものに入れてもらえるので、変な話本棚に差し込んでおくなども可能です(なんとなく罰当たりな気がするので私はやりませんが…)。
画像は以下よりお借りしています↓
参考元:「粉骨&手元供養『まごころ』」
https://funkotsu-service.com/ikotsu_jitaku_hokan.html
②樹木葬・水葬など自然に還す
・樹木葬:埋葬した場所に、墓石の代わりに樹木を植える方法。約20万円〜くらいの費用になるようです。
日本では許可を受けた樹木葬用の墓地に限られています。自由に樹木の下に亡くなった人の体や遺骨を埋めることは不可です。
使われる木は、ハナミズキ、サルスベリ、モミジなどです。
・水葬:遺体を海や川に流す方法。遺体が浮き上がらぬよう、配慮して行います。
日本では、船舶上で亡くなった場合、自衛隊の活動中に亡くなった場合に、条件を満たせば水葬が可能です。
日本以外だと、インドなどでヒンドゥー教の一環として取り入れられています。
③散骨
遺骨を粉砕して、海や川、空、山、森林など複数箇所にばらまく方法です。
粉砕+散骨で合わせて3〜4万円ほどです。
当然ですが自分で勝手に判断して行ってはいけません。
日本では、散骨禁止の自治体や、散骨の許可が必要な自治体もあるので注意が必要です。
中国やブータンでは、散骨はポピュラーな弔い方法の一つです。
石原裕次郎、アルベルト・アインシュタインなどはこの方法で埋葬されました。
④納骨堂を利用
納骨堂、聞いたことありますか?当稿の冒頭でも出てきましたが、たまにテレビなどでも取り上げられるので見聞きしたことはあるかもしれません。
ただ、こちらもお墓と近い形式になりますから、いずれは飽和状態になることは想像に難しくありません。駅からのアクセスがいい・管理不要など利便性が高い為、人気が集中しているのです。
と、ここまでは比較的想定内だと思います。
実は、もう一つ斬新な新しい方法があるんです。それは…
ゼロ葬とは
「ゼロ葬」って、聞いたことありますか?初めての方もいるでしょう。
ゼロ葬とは、島田裕巳氏(宗教学者)の2014年出版の著書で提起した葬法のことです。
内容としては、火葬後、遺骨を受け取らないでそのまま火葬場から立ち去ることです。骨壺へ遺骨を納めることすら行いません(!)。
お墓の用意が不要であることはもちろん、散骨すら不要なのがゼロ葬です。
ただ本著の中には、”葬儀を行わず火葬のみで済ませる「直葬」を行う&火葬場で遺骨を受け取らないという究極にシンプルなプラン”をこの「ゼロ葬」と呼んでいるケースもあります。
ゼロ葬は、現代日本の法律や条例が許す限り於いて、「最もシンプルな葬法」と言えます。
火葬後に遺骨を手元に残さず、且つお墓を作らない場合、これまでは”散骨”が
最善であり唯一の方法と考えられてきました。そんな中現れたゼロ葬は、納骨自体を行わないことでお墓を作らない、散骨の一歩手前のような”新しい弔い方”と考えられます。
実現はまだ容易でない
しかしながらこのゼロ葬、簡単にすぐに実現するのは難しいようです。
なぜなら、ゼロ葬を法律や条例が許しても、火葬場が許さないケースがあります。
特に東京の民営火葬場の場合は、”遺族が遺骨を全て受け取ることが規定化”されているのでゼロ葬が行えないようです。
その中でも特に関東以北は全骨納骨(遺骨を全て骨壺に納めること)を行なっている為、遺骨が残されることに強い反発を示す火葬場が多いのです。
一方で、関西以西では元々遺骨を全体の3分の1程度しか骨壺に納めません。
あとは残骨として火葬場が供養します。その為、ゼロ葬を受け入れる火葬場が比較的多いというのです。
仮に火葬場からの合意を得、ゼロ葬を行う際は、必ず喪主による同意書の一筆が必要になります。
後になってから「やっぱり残骨を返してほしい」と言っても、そのときには既に他の残骨と混じり合ってしまって、取り返しがつかないからです。
ゼロ葬を行うには、さまざまな手続きや交渉、そしてリスク(覚悟)も必要になるといえます。
今後、実施可能区域拡大かどうか、今後の動向を見守りたいと思います😇
参考元:「樹木葬の辞典」
https://樹木葬辞典.com/column/369
✔︎国を挙げて推奨?
今後、お墓を持たない家庭はどんどん増えるでしょう。
世代交代が進み、お墓の管理が出来ないことと費用の問題、土地不足の問題…
今回出てきたゼロ葬ももちろんいいのですが、現状では実施可能区域が限られている為、当面は本文中にも出てきた「樹木葬」「水葬」「散骨」などの”お墓を持たない埋葬方法”が推奨されることになるでしょう。
実際、それらを推し薦める為に、国から補助が出るだろうと言われています。
政府が動き出してしまうくらい、土地不足が深刻化しているのです。(国土交通省あたり?)
まだ少し先の話かもしれませんが、いずれは国を挙げて取り組んでいくことになるでしょう。
少し前の日本では考えられなかったことが本当に沢山起きていて、興味深いですね😌
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。